~「ロク」と「小六」~
愛宕山の「ロク」 撮影:17年2月13日

 愛宕山カモシカの「ロク」が姿を現わさなくなって1年が過ぎた。大きな環境変化があったわけではない。他のカモシカが入り込んだ様子でもなく、ただ愛宕山周辺でロクを含んでカモシカの姿を見かけなくなった。 

今冬の初雪は2017年11月19日でいきなり20㎝の積雪となった。雪はその後も続き、根雪となった。早目の冬到来にそのうちロクもやってくるだろうと思っていた。12月18日、積雪が40㎝を越えた日、我家の芝生から玄関先にカモシカの足跡があった。

玄関先のイチイを採食して、そのまま愛宕山に向かっていた。ロクだろうと決めつけてカメラを携えて足跡を追った。しかし、途中から「何か変だ」と思いはじめた。前脚の足跡がきれいに揃っている。

ロクは数年前に右前脚を負傷して足首部分が曲がったままになっている。足跡にその痕跡が残るはず。愛宕山の足跡は前脚、後足がきれいに揃っていた。
 
海岸斜面の「小六」 撮影:17年12月18日


 山頂の神社脇から海側斜面に下りた足跡は斜面下部の薮に入り込んでいた。回り込んで海岸側から調査して、ようやく薮の中に1頭のカモシカを発見した。

ロクではなかった。年期のはいったオスらしい面構えの新参は、毅然と見下ろしていた。目には警戒心がでていたが、どこかで見た顔だなと思った。正確には見覚えのある顔、が正しいのいだが、はじめに浮かんできたのが「六平」。

ロクの父親にもなり、母親「ヨノジ」の相方でもあった。そして愛宕山でロクが六平とバトルを繰り広げ、六平が愛宕山を去ってロクが残った。 薮の中から視線を送る新顔カモシカは六平を思わせる顔をしていた。

年齢は角輪の様子から15才を越えていると思われた。ロクが2006年生まれで11才になるので、それより前に生まれたカモシカだろう。ロクには2007年生まれの「ナナ」と2008年生まれの「ハッチ」と名付けた妹分がいるが、どちらにも当てはまらない。

過去の愛宕山周辺の観察記録では該当するカモシカはいない。

薮の中の「小六」 撮影:17年12月18日


唯一、六平に似る雰囲気があるので、とりあえず「小六」と名前をつけた。六平の子どもという意味も含めている。

小六はその後も我家の玄関先を訪問している。イチイの葉はすっかりなくなった。 愛宕山カモシカの歴史に新しいページが加わることになりそうだが、今冬を振り返ってみると11月19日の初雪=根雪となり、長い積雪期間が続いている。

全国各地で異常気象が起きているが、雪の降り方や気温変化をみていると、やはり今までとは違った冬となっている。異常気象はカモシカたちにも試練の冬となっているのだろう。


いそやまたかゆき

2018.03