~ニホンジカとニホンカモシカ~
保育園のニホンジカ(08年3月13日*大畑役場提供)

 青森県内でニホンジカ目撃情報がではじめて久しい。白神山地を有する県ではニホンジカの侵入によってブナ林に甚大な被害が懸念され、大きな関心を寄せている。

当面、目撃個体の除去という施策をとっている。 ニホンジカ目撃は10年程前から目立ちはじめ、下北半島では2008年に大畑地区の保育園、大間地区の公共広場、そして脇野沢地区の林内で目撃された。

情報はいずれも成熟したオスのニホンジカで、特徴から同じ個体が半島を移動した可能性が高かった。その後むつ市内でも目撃されたが、それからしばらく目撃情報は途絶えていた。

しかし、昨年夏過ぎに東通り村の尻屋崎、佐井村で2頭目撃され、秋に脇野沢寄浪周辺で若いオスのニホンジカが目撃された。角の特徴から若オスのニホンジカで、情報をつなぎ合わせると半島を反時計方向に移動した可能性がある。

津軽半島では2015年に蟹田町の林内でオスのニホンジカが目撃されており、半島の南でも複数の目撃情報が届いており、情報を整理すると青森県内にはすでに相当な数のニホンジカが侵入している。

 
採食するパールとkoパール(17年12月14日)

 さて、ニホンジカの分布拡大は森の樹木や畑地への食害が懸念されるが、森の中ではどうなのだろう。

ニホンジカとニホンカモシカは名前が似ているところから混同されるが、ニホンジカはシカ科、ニホンカモシカはウシ科に分類される。種のレベルで分かれているので、相当なところで違う。

分かり易く言えば、お互いが繁殖相手にならない。森の中で出会ってもお互い関心は薄いと思う。が、ともに山地や里山周辺に生活域をもつ草食動物であり、食生活の場所としては競合する相手となる。

東北以南のニホンジカが既存しているところでは、標高差で分かれているようだ。集団生活するニホンジカと単独生活するニホンカモシカの力関係で、集団ニホンジカが単独ニホンカモシカを追い払い、生活し易い里山をニホンジカが生活圏としているようだ。

カモシカは自然界ではとことん弱いタイプの動物である。下北半島は標高のある山地帯は少なくほとんどが里山。標高差による住み分けができるのだろうか。


尾根に立つシアン(18年2月1日)

 昨年12月に牛ノ首で1頭のニホンジカが目撃された。「シアン」、「パール」、「koパール」たちは出会っているのだろう。

青森県の縄文遺跡の貝塚からニホンジカとニホンカモシカの骨が出土しており、かつてニホンジカは生息していた。寒冷期に南下したニホンジカが温暖化によって北上したことは自然の流れであろう。

最終的には彼ら同士が折り合いをつけるのだろうが、とりあえず牛ノ首の勢力図はどうなるのだろうか。興味は尽きないが、長い時間がかかりそうだ。



いそやまたかゆき

2018.02