~北限のサル・沿革 6~
 
   2000年にはじまった「下北半島ニホンザル特定鳥獣保護管理計画」は、2012年の「第三次特定鳥獣保護管理計画」を最後にして、「下北半島ニホンザル特定鳥獣管理計画」へと移行することになった。

どこがどう違うのか少しややこしい話だが、近年個体数が増え続け、分布の拡大が懸念される野生鳥獣を第二種特定鳥獣に指定して新たな管理計画へ刷り直すことになる。第二種というのはニホンジカ、イノシシ、クマ、サル、カモシカ、カワウの六種で、計画の看板として保護という文字が抜ける。

 2015年、第1次第二種特定鳥獣管理計画(下北半島のニホンザル)、そして2017年に第2次第二種特定鳥獣管理計画(下北半島のニホンザル)が公布されて、下北半島のニホンザルが新たな道を歩みはじめた。



 下北半島ニホンザルの10カ年余りの保護管理計画による成果としては、農作物被害の軽減、個体数増加の抑制等の一定の効果はあった。しかしながら、増加する個体数に捕獲数が追いつかなく、分布の拡大に歯止めがからず、新たな農作物被害地も発生している。

捕獲が追いつかない理由のひとつに、サルの捕獲檻に対する慣れが生じて、檻に入らなくなったことがあげられる。また新たな被害発生地は対象となる群れの行動圏の把握が難しく、追い上げ等が間に合わず、被害対策が後手後手にまわって思うような管理ができない。

また専門知識を持った作業に関わる巡視員の人手不足もある。保護管理のデメリットとしては、捕獲をすすめるとサル側が生存の危機を感じるのか、繁殖力があがってくる。個体数が減少すれば増やす方向にベクトルが働く野生界の鉄則でもあるのだろうが、人の手で自然を管理する難しさをつきつけられる。

 津軽半島や白神山地個体群の(ランダムな)「駆除」が続いている地域では、不思議な現象がみられる。オトナメス2頭とこども1頭のグループ行動、いわゆる母子家庭だが3頭だけの行動が観察されている。そして、その後にオスが1頭加入して4頭で行動する観察もみられ、群れに属さない小グループの存在が明らかになった。また


母ザルとコドモそしてオスザル1頭という3頭のグループ行動など、最低限のグループの観察が3例記録されている。
ランダムによる駆除の弊害として群れの小グループ行動は考えられるが、ここまで小さいサイズの行動は想定外もいいところである。

メスを中心とした群れ行動するサル社会の基本を覆させる。
そして結果的にそれぞれが行動域を拡大し続け、その地域のニホンザル分布が拡大してゆく。サル側から云うとそれらの行動はすべて「生きるため」なのであろう。重ねて自然界に手を入れる難しさを知る。

 山々の化粧がはじまりかけた10月、サルたちはブナの実を食べ歩き、クリ食いに夢中になり、ヤマブドウを摘み、アケビを手にして幸せそうな顔をしている。冬はもうすぐやってくる。

終わり


いそやまたかゆき

2017.10