「ミドリ」と「ロク」

15才になる「ミドリ」

 昨年末、牛ノ首岬の「ミドリ」と愛宕山の「ロク」と会って仕事納めをしてきた。
 ミドリはひとりで暖かな斜面で孤独を楽しんでいた。足場を確かめながらゆっくり歩き、クロモジやササをつまみながチラッとこちらを見るだけ。久しぶりの出会いにもそっけない態度でした。

2000年生まれの彼はもう15才をむかえます。カモシカの世界では初老にはいってくる年齢。年金暮らしにはまだは早いけれど、雰囲気はすっかり高齢者。牛ノ首の主的雰囲気にも貫禄さえ


 斜面途中のミズナラの根元に佇んだミドリは、「さあ、これから反芻だ」、「さっさと消えろ」と言わんばかりでした。帰り際、振り向いてみたら、むつ湾が陽光にキラキラ輝いて、とてもきれいな風景でした。小さくみえるミドリは牛ノ首にとけ込んでとても凛々しく見え、高齢者には見えなかった。新しい年にもミドリはまだまだ健在のようだ。
むつ湾背景の「ミドリ」

  翌日は、我家の周りにカモシカの「二の字、二の字」の足跡がたくさん残っていた。建物の裏手を歩いて玄関にでて、いつものようにイチイの枝先を剪定。そして足跡は、お隣さんの裏を抜けて、道路を横断して愛宕山にはいっていた。神社まで追跡すると、いつもの場所にロクが佇んでいた。こちらの足音で立ち上がったのだろう。

視線はこちらを注意深く見ているが、警戒心はまったくない。が、「はやく消えろ」と言っているようだ。反芻を邪魔されたご立腹の雰囲気がただよう。

 ロクは2006年生まれ。はやいもので、もう9才になる。もうすっかり中年だ。母親の「ナナ」の後ろをチョボチョボ歩いていたチビ時代とはずいぶん違い、今や愛宕山の主的存在だ。昔のことを思い出していたら、ロクはその場に座り直し、反芻をはじめた。こちらの退散を待ちきれなかっただろう。


9才になる「ロク」

 愛宕山の真下にある港に鱈舟がついた。大漁旗があがっている。今年は久しぶりの鱈の大漁。漁師たちは船上でせわしそうに動き回っている。大半の漁師は高齢者だが、そんなことに構っていられないようだ。「脇野沢の鱈」とシールが貼られた発泡スチロールの箱がどんどん山積みされる。漁師たちは良い正月になりそうだ。
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 牛ノ首のミドリ、愛宕山のロク・・、そしてその家族たち。みんな元気に新しい年を迎え、そのまま冬を乗り切れそうな気がしてきた。こちらも頑張ろう。




いそやまたかゆき

2015.01