「~2012-2013・行く年来る年~」


 新しい年が明け、年替わりを機に、観察している動物たちの歴史を少しまとめてみようと思います。まず、ニホンカモシカですが、むつ市脇野沢の南西端にある「牛ノ首岬」では、2000年生まれのオス「ミドリ」、2001年生まれのメス「グレー」の2頭を観察しています。ミドリの母親は「ムラサキ」、グレーの母親は「クロ」ですが、父親が一緒なので、血縁関係は異母兄妹の間柄になります。グレーとミドリはつがい関係を持ち、04年にグレーは初めてのこどもを出産し、11年まで8年連続の出産が続きました。しかし、昨12年は出産が確認できませんでした。

 続いて、我家の前にある「愛宕山」ですが、06年生まれのオス「ロク」、07年生まれのメス「ナナ」が、09年に死亡した母親の「ヨノジ」と、姿を消した父親の「六平」のナワバリをそれぞれが後継するかたちで愛宕山通いを続けています。ナナは3才になった10年に初めてこどもを出産し、12年まで3年連続して出産しています。ロクとナナはつがい関係にあるのですが、ニホンカモシカの場合は関係が成立する間柄です。


 さて、北限のサルですが、一番長くつき合っているのは、86年生まれの26才になるメスの「スズシロ」、ついで89年生まれの「イモムシ」こと「カエデ」。姉と妹の関係です。次に年齢の順でいくと91年生まれの「スズラン」と「カキラン」です。αメス「ツツジ」の後継をした「モミジ」は93年生まれで、モミジはツツジの末娘で、スズシロ、カエデたちの妹になります。ここまで全員、人間年齢の還暦過ぎになります。その他には、「ポンカン」「キンカン」と一風変わった名前のサルもいますが、この姉妹は今は亡き「サンショウ」の忘れ形見です。

 長く観察をしていると、それぞれの個性がみえてきます。グレーは威嚇しやすいタイプですが、ミドリはおっとりしています。ロクものんびりタイプで、いつもぼうっとしています。子育て中のナナは警戒心が強いのですが、ひとりの時はけっこう温厚。αメスのモミジは群れを仕切るだけあって、睨みが強烈で、オスザルでもたじたじ。スズシロは人の迷惑かえりみずのやんちゃな性格でしたが、高齢になってさすがに穏やかになりました。カエデは自立心が強く、序列の低いカキランはひとりで逞しく年を重ねました。ポンカン、キンカンの威嚇っぽい性格は完全に母親そっくりです。スズランはアカンボウ時代に祖母であるαメスのツツジに育てられ、序列の強いサルとして大きくなり、群れが分裂したBグループのαメスになっています。こうやって振り返ると、みんなそれぞれが事情を抱えて、大きくなり、自分の生活を築きあげています。

新しい年がかれらにとってどんな年になるのかわかりませんが、それぞれが、それぞれの場所で、さらなる時間を刻んでいくことでしょう。みんなにとって良い年になることを心から願うばかりです。