「大震災と自然」


 ホームページをつくり、月一度掲載しているこのトピックスを書き始めたのが1997年夏。それから14年。自然をテーマにした文章は168本。簡単に自然という言葉を使い続けてきたが、3月11日に起きた東日本大震災そして同時に発生した原発事故を考えると、あらためて自然について考えさせられる。大震災は数百年に一度に発生する自然災害、原発事故は人の営みが自然の力によって破壊された災害である。いずれも自然の力が絡んでいる。

 我が家の宿泊所には年間150名ほどの外国人の訪問者があった。過去形にしたのは大震災及び原発事故によってパタリと足が止まった。5月のゴールデンウィークにメール予約も入っていたが直後に、すべてのキャンセルが入った。訪問者の大半はヨーロッパ人。ドイツ、フランス、スイス、オランダ、イタリア、オーストリア、イギリス、ベルギー、フィンランド等。他に南半球のオーストラリアと残りはアメリカである。「こんな」僻地に多彩な顔ぶれである。
 
 
 目的は「北限のサル」を中心とした「自然派」。かれらにはSNOW MONKYとしてLonely Planet Japan (Country Guide) で紹介されている。しかし、必ずしも北限のサルだけではなく、日本の里山、田舎といった自然に囲まれた風景を目指してやってくる。いわゆる日本の自然を満喫するために旅してくるのである。興味深いのはほとんどが「歩き」を楽しむ。雨が降っても構わず出かけて行く。こちらが躊躇するような強雨でも「雨を楽しみまーす」とルンルンとカッパを着込んで出かけて行く。このあたりは日本の旅人とまったく違うのである。日本人は雨が降ったら予定を変える。山なんぞに出かけて行かない。雨楽しみ組に理由を聞くと一言、「雨も自然じゃないですか」、「雨の風景はとてもきれいです」と即答。これこそ自然派と納得させられる。

 そんなかれらが日本の旅を止めたのは「原発事故」。いまだ終息していない現実をみた結果であろう。自然派は言葉を変えると自然敏感派。とくに原発先進国ヨーロッパの人々は敏感である。地震、津波、水害、雪害、台風、火山噴火、竜巻など日本列島にはあらゆる自然災害が潜んでいる。豊かな自然の裏打ちでもあるのだが、大切なのは、そんな自然の中に私たちは生きているという認識を持つこと。そして常に自然の変化に目を光らせ、警鐘を早めに感じ取り、降り掛かる災害を最小限にする努力を怠らないことだろう。

 豊かな自然に暮らす日本人のひとりとして、3月11日の大震災はさまざまなことを考えさせられる出来事である。