牛ノ首物語6「アニマルトラッキング」

アニマルトラック。英語で表記するとAnimal Track。直訳は動物の足跡だが、細かく定義すると足痕(Print)と足跡(Track)。あしあとの意味が違う。足痕はひとつひとつの痕で、足痕が連なったものが足跡になり、歩いた、走った、ジャンプした、また餌を探した様子が連なる足跡から想像出来る。冬の生態観察手法だが、最近は冬の森歩きに併用されアニマルトラッキングの言葉が広がってきた。4年前、知り合いの地学の大学の先生と一緒にはじめたのがきっかけだが、今年(2007)は地元観光協議会主催のツアーに企画され、今冬2度実施した。
 初回は1月21日、予定の牛ノ首農村公園は記録的な暖冬で積雪10センチ。輪カンジキは断念せざるを得ず、アニマルトラックとしてもギリギリの積雪だった。歩道を登り始めるとさっそくキツネの足跡が続く。直線的に律儀な足跡はヨタヨタ歩くタヌキと大違い。ネズミの匂いを嗅ぎつけ、所々に穴を掘っている。参加者も原寸大のハンドブックと照らし会わせながら納得。頂上を経由してむつ湾を見下ろしながらスギ林に入ると小さな足痕が横切っている。慎重に辿るとスギの根元から木に登っている。そして隣のスギから再びキツネの足跡の上を横断してまたスギに登る。このあたりまで追跡出来ると、小さな足跡の持ち主がリスだと判明。

一連の行動を連想すると、キツネが通り過ぎた頃を見計らってリスが道に降りて餌を探しながら道路横断、再びスギに登りという繰り返し。キツネが居ない隙を見計らって餌探しをする健気なリスの姿が浮かび上がってくる。食うものと食われるもの、まさに冬の自然のせめぎ合いである。40年程のスギ林に入ると積雪はほとんどない。慎重に歩くと、わずかな積雪から顔をのぞかせる下草を食べた痕と、その周りに大小のカモシカの足跡が見つかった。「グレー」とこどもだろう。足跡は交錯しながら海岸側の斜面に降りていた。姿は見
えなかったが、親子が仲むつまじく歩く姿が想像出来た。2度目は2月18日。積雪は10センチを切り、内陸部の瀬野牧場に観察場所を変更。少々無理して輪カンジキも使用。この日は家族参加が3組。にぎやかな観察会となった。この日は、東北自然歩道になっている歩道上にはテンがネズミを食べたと思われる痕も見つかり、リアルなトラッキングになった。しかしそれも自然。こどもたちも得心の様子。また上空を飛翔するクマタカも観察し、そして終了直前にサルの群れと遭遇。お昼に地元ジャッパ汁に舌鼓をうって、全員が大満足のうちにアニマルトラッキングは終了。暖冬の積雪にハラハラしたが、やはり冬は素晴らしい感動を残してくれた。