「冬の終わりに」
 3月30日、こちらでは雪が降り、見えていた地面が雪で覆われ、再び真っ白な世界に変わった。ちょうどニュースで東京の桜が満開になり見所を迎えたと報じられていた。 この日、我が家の玄関前にカモシカがやってきた。目的は庭木の「イチイ」。名前は「六平」。正月明けから2,3日おきにやってきていたが、雪解けとともに姿を見せなくなり、春の訪れを感じていたが、冬の再来でまた冬生活に戻ったようだ。イチイの食べっぷりは迫力があり、庭師がみたら「ひどい剪定」に思うに違いない。それもそのはず、足場が不安定な為、口の届く範囲が限られ、一カ所に集中する。よく見ていると、枝は食べずに、葉だけをむしり取っている。上あごに門歯のないかれらなので器用な食べ方で採食をする。
 少し遡って3月22日。雪解けのすすんだ草地にサルの群れがやってきた。お目当てはクローバー。思い思いの場所に座り込んでクローバーだけを引っ張り出して口にほおばる。その様は無心という言葉がぴったり。しかしこの日は思わぬ強敵がいて、落ちついて食べさせてくれない。カラスである。かれらまた雪が融けた地面をつっついている。つまり餌場が同じで、奪い合いになる。カラスも利口でオトナのサルにはちょっかいを出さずに、体の小さなコドモを狙う。頭上すれすれに飛んで威嚇するので、コザルたちは「ギャーギャー」。母親や用心棒のオスたちは採食どころではない。体を盾にしてコドモを守る。

 玄関先の「六平」君、そしてカラスとバトルするサルたちにしても、冬の終わりの風景。春は本当にもうすぐそこに来ている。

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