「森の中で〜申年〜」
春を迎えたシャチ:撮影2003年4月26日
脇野沢村に移住して二度目の申年を迎えました。昨年末、雪のないクリスマスから年の瀬を迎え、とうとう積雪がゼロという新年になりました。
 元日、馴染みのサルたちが我が家の近くにやってきました。年始というわけではないのでしょうが、なかなか義理堅い連中です。暖かで積雪がないのは、かれらにとって冬ではなく、まだ晩秋の気分でしょう。ただ秋の実りがないので、里山付近を歩き回ることになってしまいます。
 いつもなら群れの中に「シャチ」が居るのです。が、今年は違います。昨年6月に群れを離れてしまい、姿を消してしまいました。あしかけ16年、シャチと付き合ってきたのですが、実際にいなくなると、周りの風景が変わったような気さえします。前回の申年から振り返ると、群れを去ったシャチだけでなく、メスザルの「ツツジ」や「ヤマツツジ」そして「モモ」、また「カキ」や「サルスベリ」といった名前をつけたメスザルたちがこの12年間で死亡しました。二ホンカモシカにしても、牛ノ首の「ムラサキ」の死亡をはじめ、「ウスムラサキ」「マナブ」「アカ」「ゲンジ」「ホワイト」と名前をつけた連中が姿を消しました。土に還ったカモシカも多いことでしょう。12年はあっという間だった気もするのですが、振り返ると、かれらの歴史が積み重なっています。かれらにとってはとかなり長い時間だったようです。
 12年後の申年のことを言うと「鬼が笑う」のではなく「鬼が怒る」かも知れません。現在観察しているサルやカモシカたちもその頃にはどうなっているのか見当がつきません。これは環境の変化ということも含めてですが・・。前の申年には12年後のある程度の予測めいたものがありました。21世紀に入ってますます加速した時間は、森の中の時間をどんどん鈍足にさせ、まるで時間が止まっているような気持ちにさせます。申年を節目にして12年間を考えてみるとどっちの時間も知っている私は妙な気持ちになります。
 森の中で、サルの目になったりカモシカの目になったり・・。この先の12年間はどんな出会いがあり、あるいはまた別れがあるのでしょうか。
雪を払い落とすシャチ:撮影1994年2月1日
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