「ゴンズイ」・2

 

 4月のトピックスで「ゴンズイ」という人家侵入ザルの「お仕置き放獣」「捕獲」に至る経緯を書きました。

 その後、どうなったのか、という事を少し書きます。

 まず、捕獲され、野猿公苑に収容された「ゴンズイ」は、元気に暮らしています。もちろん、他のサルたちとは

隔離された個室での生活です。保護オリの群れのサルたちに混ぜると、オス同士の争いが発生し、下手をすると

双方が傷つき、致命傷に至る可能性が考えられます。私たちから見れば、同じ仲間だろう、という気持ちになる

と思いますが、なかなか、サルたちにはそれぞれの事情があって簡単には行きません。

 さて、人家侵入の防止策ということで「ゴンズイ」は隔離されたわけですが、じつは、当時は共犯者が居て、

「一時捕獲」のリストにもう1頭のサルが記載されたままです。ところが、「ゴンズイ」がいなくなってから

半年が経過し、悩ましていた人家被害が、今年はどうだったのか?、ということです。

 一昨年から昨年にかけて、被害件数が100回以上にも及んでいましたが、今年の被害件数は、先頃、教育委

員会が調査した結果、数件のみでまとまりそうです。この数字は、ゼロではないものの、過去2年間の被害件数

に照らしてみると、予想外のことです。

 ニホンザルという習性からみると、一度、学習して経験、体験した行動は、魅力がある限り続くだろうと予想

していました。つまり、「ゴンズイ」が居なくなっても、残り1頭が同様の行為を繰り返すだろうと考えられました。

しかし、現実はそうではありませんでした。これは、予期せぬ、嬉しい誤算でした。

もちろん、ゼロにならず、人家侵入の予備軍的なサルはいるだろうと考えますが、残り1頭のサルが、リスクを

犯してまで行動に及ばなかったのではないか、と考えられます。

 私の考察は、「ゴンズイ」が、残りもう1頭に対して相当な牽引力を持っていただろう、と、現時点では考え

ています。サルたちは、非常に利口な野生動物です。それらを利用して「餌付け」ということも可能になっていた

のですが、今回の事例で、残り1頭のサルが、玄関から部屋に上がり込んで侵入する自分のリスクと、魅力ある

食べ物を奪う成果と天秤にかけた結果、民家に侵入する行為を止めたのではないかと考えています。

 3年間の人家侵入の被害件数を見ると、こういった「サルの心の動き」が読めるのではないかと思います。

しかしまた、そのサルが人家侵入の行為や、部屋の中に魅力ある食べ物があることを忘れたわけではないので、

今後、こういった行動を発生するきっかけをつくらないように、私たちが心がける必要があるでしょう。

 具体的には、野生動物(これはサルに限りませんが)に出会っても、絶対、食べ物や餌になるような物を与えない、

また、与えるような行為も見せない、というような、野生動物との付き合い方のルールを順守すべきでしょう。

そして同時に、安定した生活ができる「場所の保証」を、私たちが考える必要もあるでしょう。

 ゴンズイの残した教訓として、共生の為の成果にしたいものです。

 

 山々は、山頂の方から紅葉し始めてきました。先日、奥山で、サルたちの群れに出会ったら、たわわに実った

ヤマブドウを食べていました。黒く熟し、じつにおいそうに口にほおりこんでいました。秋の訪れは冬の準備でもあります。

 我が家の部屋にもストーブが鎮座しました。

 

終わり

いそやまたかゆき

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