ニホンカモシカ

「クノジ登場」

 1987年、ニホンカモシカの「ハチノジ」に出会って13年が経過した。

老齢のオスで、すみかは、山ではなく人里周辺であった。わが家の芝生や

玄関先もよく歩き、宿泊する人々にも馴染みが深かった。残念ながら

99年8月に死亡したが、エピソードを書くと枚挙にいとまがなく、

このコーナーでもいろいろ紹介した。

 ところが、死亡した翌月の9月、新人が登場した。カモシカの新人もないが、

同じような老齢オスである。最初、わが家の窓から見たときには、一瞬、

目を疑った。雰囲気が「ハチノジ」とそっくりで、素人目には区別がつかない。

また歩く道筋も同じで、道路を横断する時は、同じように左右を確認して渡る。

ただちょっと違うのは、動作がのろく、横断に時間がかかって車を止めて

しまうのである。村の人も心得たもので、にやにやしながら停車して待っている。

まさに、カモシカ天国である。

 最近、パソコン、携帯電話、インターネットなどが生活に定着し、

かえって忙しくなったのでは…、と目に映る。残り少なかった時間の隙間が、

便利な道具によって埋め尽くされてしまった気がする。カモシカまではゆかなくても、

時間の遊びの中に、私たちも、「人」らしさを感じていたはずなのだが…。

 ちなみに「クノジ」は、99年9月の出会い、八の字の後釜から「九の字」

と即座に命名した。また、おりおりに紹介したいと考えている


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いそやまたかゆき

 2000/3/1

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