「山を下りるサルたち」

 

 山々は、秋の装いも整い、すでに冬支度にとりかかっています。

北限のサルたちは年に一度の「交尾期」という繁殖時期を迎え、そ

れぞれの想いを果たす為に余念がない日々を送っています。

 さて、先月24日に「お知らせ」コーナーで広報していた「3th 郷

土の自然を探る」公開講演会が青森市で開催されました。

演題は、コウモリ、オオセッカ、ケヤキ、淡水魚の生息状況とさま

ざまな分野に及び、私もその中で、現在進行中の「下北半島のニホ

ンザルの生息状況」調査の年次報告をしてきました。

 5ヶ年計画で始まった調査も今年で3年を経過しました。半島の

北部は、以前からサルの生息域が奥山ということもあり、あまり詳

しい調査も実施されず現在に至ってきました。今回、それらの地域

を調査し、おおよそ20年間の間に群れの数や行動地域がかなり変動

していることがわかりました。大胆な言葉で言うと、奥山から人里

に、という流れで変化しており、地域の「猿害」も4〜5年前から目

立ち始めていました。耕作してる人々の証言からも、サルたちがそ

の付近を何度も行動していることも分かりました。

下北半島は自然が豊かで、まだ「秘境」という言葉すら残っている

くらいですが、その言葉の裏で、現実を間のあたりにして、私たち

が気が付かないところで「何か」が起きているのは事実です。さま

ざまな要因も憶測されますが、自然と人との付き合いは、パソコン

以上に奥の細道に迷い込みそうです。

 写真は、私が長く付き合っている脇野沢村の「シャチ」というリ

ーダー格のオスザルです。交尾期を迎え、いっそうの朱色を顔とお

尻に浮き立たせ懸命にメスに視線を送っています。

 私たちにとって「もの想う秋」ですが、サルたちの「もの思い」

を一度聞いてみたいものです。



いそやまたかゆき

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