「我が家のハチノジ」

 

 今月は、このトピックスに時々登場する「ハチノジ」というカモシカの話しです。

 かれは、かなり老齢のオスのカモシカで、私たちが11年前、ここに引っ越しを

してきた時には、すでに近くにある「愛宕山公園」を生活場所の一部として

利用していました。一般的に、めったにを見る事が出来ない特別天然記念物の

ニホンカモシカを、公園や民家近くで姿を見瑠事が出来るのは、まさに、

特別な話しです。 結局、その時以来11年間、観察が続いているのですが、

最近、特に我が家の周りで姿を見る機会がぐっと増えました。窓の下、玄関先、

芝生、そして洗濯干し場など、周囲すべてなのです。理由は、

ユースホステルの周りに白樺や桜の木が植えてあり、その若芽などがカモシカの

好物なのです。先日も、カミさんがシーツを干していて、ふと何かの気配を感じ

たので、そっとシーツの裏を覗き込むと、「ハチノジ」が立っていたそうです。

距離は2m。瞬間、彼女は金縛りになり、声も出せなかったそうです。

後で話しを聞いて、以前、自然ブームの時、あるテレビ局から「お宅では、

カモシカが窓から見られるとか聞いたのですが…」と電話が入り、

「間違いではないが、そんなに簡単に撮影出来ようなものではない…」と、

取材を断るのに苦労した話しを思い出しました。

 きょうも、ついさっき、玄関の脇を通り、隣の村長さんの前の草むらで採食をし、

傍らのササの中に座り込んでいました。すぐ上では小屋を新築していて、

カンコン、カンコンと大工さんが仕事をしているのに、「ハチノジ」はまったく無視。

ますます年老い、のんびり行動にもいっそう拍車がかかりました。

今、テレビ局から同じ問い合わせがきたら何といえばいいのか…。

ちょっと、複雑な思いです。

 それより、いつの日か我が家の玄関先で横たわっている姿が…、

なんて事も、ひょっとしたら、という気がしてきました。

 

 いそやまたかゆき


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